我孫子市鳥の博物館に行った。名前に恥じない鳥だらけの場所だった。基本的に剥製や標本の展示であって生きている鳥がいるわけではないのだが、むしろだからこそ色々な種類の鳥を網羅的に解説する形になっている感じがした。
単なる分類学的な話だけでなく、体の構造や仕組みも詳説されているのが良い。鳥の羽ばたきの仕組みなど、初めてちゃんと知った。まず浮き上がるには揚力が必要だが、揚力を得るには速度が必要になる。速度を得るには推力が必要になる。羽ばたくと初列風切りのおかげで推力が生まれ、速度が出ると次列風切りのおかげで揚力が生まれるという理屈らしい。なおハチドリは体を横ではなく縦にして羽ばたくので推力が上方向に発生し、それで浮く。全く理屈が違う。揚力の発生が重要でないことを考えると、あの尖った形状の羽も納得が行く。
羽の種類として風切り羽根は知っていたが、綿羽とか雨覆といった名前は初めて知った。
企画展の猛禽展もなかなか良かった。猛禽の定義は割とゆるふわらしく、「この場での定義は2019年の論文に基づく」みたいな話が書いてあった。随分最近の論文だ。猛禽の仲間を見ていると、みんな揃ってくちばしがかぎ型になっている。これがナイフ兼ペンチみたいな役割を果たすんだろう。嘴は開閉の動きだから、先が曲がってないと口を閉じても食い込まない。
3階には様々な目・科の鳥類が剥製と共に網羅されていた。あれはさすがに圧巻の一言。自分の知らない鳥も結構いたのだが、ひとつ目を引いたのはアマツバメ科。一生のほとんどを飛んで過ごすとあり、「起きている時間のほとんど」の意味かと思ったら本当に文字通り「一生のほとんど」らしい。飛びながら寝ることができるし、地面に降りたらむしろ歩けないし飛び上がれない。地面に降りれないなら子育てをどうするかというと、断崖絶壁に巣を作る。飛び立つときは飛び降りるようにして重力で飛び立つ。よくこんな種が生まれたもんだ。有名な高級食材「燕の巣」はこいつらの巣のことらしい。
これで入館料300円は安いと思った。
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