2021/8/26(木)

「進撃の巨人と解剖学」を読み進めた。起始停止という概念を学んだ。確かにこの語彙があると議論がしやすい。

大胸筋、腹直筋、前鋸筋、外腹斜筋の説明を読んだ。なんか腹のあたりから脇の下へ向かって上がる感じの筋肉あるよなとは思っていたが、前鋸筋と外腹直筋で2種類あるのか。

なんかあるよなあと思ってたやつ
なるほどね

この本だと前鋸筋の起始停止が「起始が肩甲骨で停止が肋骨」とあったのだが、肋骨そんな動かねえだろ~と思ってネットで調べてみるとやはり逆っぽかった。まあ物理的にはそう明確にどっちがどっちと決まっているものでも無いかもしれないけど。付き方はWikipediaのこれが図的に分かりやすい。

体をひねると実は肋骨以上に肩甲骨がダイナミックに動く、というのは発見だった。外腹斜筋が骨盤と肋骨との位置関係に作用し、前鋸筋が肋骨と肩甲骨との位置関係に作用するので、肩甲骨は2段階の作用で動く。これは理解すると気持ちいい。

胴体から話が始まるのは体系立てて話してる感あって非常に嬉しいけど、やはり一番は腕や脚が気になるな。描いてて全くわっかんねえもん。早くその辺の話にたどり着きたい。


引き続き読み進める。

背中の筋肉として広背筋と僧帽筋について説明されていた。広背筋は背骨や肋骨を起始として上腕を後ろに動かす役目として分かりやすかったが、僧帽筋が今一つ良くわからない。とにかく肩甲骨の動作と保持全般という感じ?起始が後頭部~頸椎あたりで停止が肩甲骨~鎖骨らへんらしい。いわゆる「肩こり」で凝っている筋肉という意味では分かりやすい。

顔の解説も面白かった。眼輪筋は目頭の辺りが起始になっているのでギュっと目をつぶると目頭を中心として(>_<)のようになるのだとか。あとは頬骨筋。たまに人と長時間喋るとほほのあたりが筋肉痛みたくなるのだが、多分ここが痛むんだろうなということが分かった。にしても口回りってやたら放射状に筋肉が伸びてるな?

顎の筋肉として側頭筋と咬筋の2つがあるのが良くわからなかったのだが、調べてみたところ、側頭筋は頬骨弓に挟まれた側頭窩を通り抜けて下顎骨の内側で停止するのに対し、咬筋は頬骨弓を起始として下顎骨の外側で停止するらしい。下あごが外から内から引っ張られているのが面白い。にしても、細い頬骨弓が強そうな咬筋なんかの起始になってて大丈夫なのか?

しかし人間の体というのはここまで精密機械のように多種多様な筋肉が張り巡らされているとなると、奇形児とかの筋肉はどうなってるのかすごい気になってくる。形はあるけど機能しません、ならまだ分かるけど、機能してる事例も聞くし。ものっそい不謹慎だけど、奇形児の解剖とか出来るものならしてみたい。


上肢下肢の筋肉の話題は思った以上に複雑そうなのと、お楽しみは最後に取っておこうということで、骨の方の解説から読むことにした。

頸椎・胸椎・腰椎の違いという話が出てきた。今まで深く考えたこともなかったが、単純に「肋骨が付いていれば胸椎!それより上は頸椎で下は腰椎!」というざっくりした区分けらしい。わかりやす…

胸郭は動くという話題に言及されていた。骨なのになんで呼吸時にはちょっと動くの?という謎にも言及されていて興味深かったが、正直本だと字面だけなのであまり良くわからなかった。そこでググったらいい感じの記事が出てきた。

胸骨下角の大きさが男女差の他、太ってる人と痩せている人でも違う(太っている方が胸骨下角が大きい)という風に書かれていて、「骨の形が太ってる・痩せてるみたいな違いで変わるの?」と疑問を覚えたが、この動画を見て納得した。こっから類推すると太ってる人は常時やや息を吸った状態に近く、あまり空気を吸えないということになりそうだ。「デブは呼吸が苦しい」という漫画のステレオタイプみたいなイメージがこんなところで理屈づけられるとは。


本命、上下肢の構造。「細部まで説明するとややこしいから体系立てて説明する」という前置きに好感。

肘・膝ともに一方向にしか曲がらないので、上腕と大腿は大まかには曲げる筋肉と伸ばす筋肉の2つのしかないという説明はわかりやすかった。横方向には筋肉が付く理由がないので付いておらず、谷のようになっている。

上腕: 上腕二頭筋(前に付いている・ 肘を 曲げる)/上腕三頭筋(後ろについている・肘を伸ばす)

大腿: 大腿四頭筋(前についている・膝を伸ばす)/大腿二頭筋,半腱様筋など(後ろについている・膝を曲げる)

ググったら大腿後面の筋肉はまとめて「ハムストリング」と呼ばれているらしい。

「手首を内側に丸めると2本の腱がはっきり見えると思います」と書かれているのだが、自分は4つ見える。なんこれこわ。

多分内側2つが橈側手根屈筋、長掌筋、外側のが尺側手根屈筋だと思うのだが、外から2番目が分からない。

「前腕の筋肉は肘寄り半分が肉らしい肉になっていて、手首側半分はほぼ腱」という話は絵を描くうえでかなりためになりそうな知識だった。確かにそんな感じになってるけどなぜこうなっているんだろう?手首の可動域の確保?

下腿の筋肉はあまり詳しい解説がなかった。腓腹筋とヒラメ筋の二つ(下腿三頭筋)がアキレス腱になって繋がってる、でそれ以上分かりやすく面白い部分ないのかな。

「膝の裏(膝窩)には筋肉はなくて、膝を延ばすとぷよぷよするのは脂肪」みたいな話は面白かった。象の足の裏とかも確か脂肪がクッションになってたような。クッションが欲しい位置にいい感じで脂肪が溜まるのはどういう機構なんだろうか。

一応一通り読み終わって、全編にわたってかなり面白かったしためになったけど、やっぱりこれは一般向けの入門書の域は出ないんだなと思った。ちょっと疑問に思った部分をググるとさらなる情報がごそごそ出てくるし、そうして出てきた知識で書いていない部分を補完していくとさらに細かい知識に繋がっていく。初学者が読む概説としてかなりいい本だったと思う。

Categories: