今までアニメにせよゲームにせよ漫画にせよ、創作の価値はそうした作品の物語構造やシステムなどなるべく根本的な部分における新規性こそが価値の全てであるように思っていた。しかし最近になって別の視点を持てるに至った。

複数の作品を摂取していると、そのどれものキャラと世界に独立して愛着が芽生えてくる。なぜ独立した愛着が育つのか?それは必ずしもそれぞれのキャラや世界が似ても似つかないことによるものではない。仮に多少似た部分も持っていようと「異なるもの」として設定され、受け手がそれを了解しているからである。

愛着を持てる存在の数は世界の豊かさにつながる。創作の世界全体で愛着を持てる存在の数が純粋に多ければ、それはすなわち我々が生きる生の豊かさに繋がるのである。

創作とは、必ずしも質的な新規性ばかりを求める営みではないのかもしれない。 時に我々が見る世界を量的に広げる試みでもあるのだろう。