社会で生きていると何の気なしに出てくる「反社会的勢力」「反社会的組織」という言葉。

この言葉における「社会」は、一般的な「社会」とはややずれた意味であることを指摘しなければならない。

社会とは、人が集まり共同で営為を営むことである。真の反社会的勢力は当然、社会を嫌っているのだから、徒党を組み組織的になろう筈がないのだ。

つまりこの意味での社会と考えると、反社会であるのに組織(→社会的)であるという大いなる矛盾が生じるのだ。ここにおける「社会」とは一般の社会ではなく、今、ここの社会という具体を指すものなのである。

反社会組織、などという言葉を始めに考えたのは誰だか知らないが、社会はあらゆる場所に、あらゆる時間に様々に存在する。その中の一つを基準のように考えて「社会」という一般名詞一単語で表すのは料簡が狭いという批判はできないだろうか。

ところで本筋とはずれるが、真の反社会的勢力というのはどれくらいいるだろうか?特定の社会が嫌だとか逃げたいとか変えたいとかじゃなく、「社会ということ」そのものを嫌う人間という訳だ。そんなことを考えても面白いかも。